5/5 ドリームコンサート イベントレポート

ドリームコンサート2015 5/5 アカデミーホール 明治大学

さあ、いよいよ最終日。このドリームコンサート始まって以来、ずっと最終日のオオトリ(最後に出演する大物役者のこと)をつとめているのが「トルヴェール・クヮルテット」のみなさん。

今回は、彼らの先輩格の本多俊之さんとのコラボ。

そう、今日は「サックス祭」の日です。


トルヴェールとは吟遊詩人のこと。その名の通り「辻音楽師」よろしくストリート演奏から始まった彼らも、今では世界的なグループとして押しも押されもせぬ名声を誇っています。


クヮルテット(四重奏)とは言いながら、ピアノの小柳美奈子さんも加えた実質五重奏。変幻自在のフレキシブルな表現力がその魅力です。

この日は、本多俊之さんの奥様でもある本多尚美さんとの連弾伴奏もあるので、ただいまそのリハーサル中。

トルヴェール・クヮルテット Trouvère Quartet

トルヴェール・クヮルテット

今回は前半をトルヴェール、後半を本多さんとのコラボという二部構成。まずはトルヴェールクヮルテットの演奏で、話題を呼んだアルバム「トルヴェールの《四季》」から。

啼鵬さんアレンジの《ブエノスアイレスの四季》(A・ピアソラ)より、「春」「夏」を披露。

タンゴを芸術の粋にたかめたピアソラの名旋律が、サックスの響きで甦ります。オトナなひととき。

そして、ヴィヴァルディの合奏協奏曲「四季」からの抜粋。もちろん、単に弦楽合奏をサックスに移し替えるだけ…なんて無粋なことをトルヴェールがやるわけがない。

トルヴェールを知り尽くした鬼才作曲家・長生淳さんのアレンジ…いや、ほぼ「作曲」といってもいい斬新な斬り方で再構成。


ひとりづつコメントを挟む形で「春」と「冬」の全曲、「夏」は2&3楽章、「秋」は3楽章が演奏されます。

最初楽譜が届いた時には、むつかしくて「トルヴェールの《四季》」ではなく「トルヴェールの危機」ではないかと思った、と語って笑いをとる彦坂眞一郎さん。

「夏」では冒頭で蚊がぶんぶん飛び回るシーンが描かれます。バリトンの田中靖人さん、不思議な動作を(笑)。全員がぱちん!と蚊を叩く瞬間もありました。つまりは、叩かれて死んだ蚊を悼んで合掌?


プロフィール

須川展也

須川展也(すがわ のぶや)Nobuya Sugawa■ソプラノ・サックス

日本が世界に誇るサクソフォン奏者。東京藝術大学卒業。第51回日本音楽コンクール、第1回日本管打楽器コンクール最高位受賞。出光音楽賞、村松賞を受賞。98年JT音楽家シリーズCM出演、02年NHK連続テレビ小説『さくら』のテーマ音楽を演奏。年間コンサート数は約100公演。海外でも20カ国以上でリサイタルやマスタークラスを行っている。これまでに約30枚のCDをリリース。最新CDは「サキソ・マジック」。国内外の有名オーケストラと多数共演。名だたる作曲家への委嘱も積極的に行なっており、須川によって委嘱・初演された多くの作品がクラシカル・サクソフォンの主要レパートリーとして国際的に広まっている。1989年から2010年まで、東京佼成ウインドオーケストラ・コンサートマスターを務めた。ヤマハ吹奏楽団常任指揮者、東京藝術大学招聘教授。京都市立芸術大学客員教授。
使用楽器:YAMAHA YSS-875EXG

彦坂眞一郎

彦坂眞一郎(ひこさか しんいちろう)Shin-ichiro Hikosaka■アルト・サックス

東京藝術大学大学院修了。安宅賞受賞。CBSソニー「ザ・ニューアーティスト・オーディション '88」においてFM東京賞、クリスティン・リード賞受賞。マイスター・ミュージックよりソロ・アルバム「バラード“即興への軌跡…!”」、「ダンス」、「エチュード」をリリースしており、99年6月に行われた東京オペラシティリサイタルシリーズ「B→C バッハからコンテンポラリーへ」では好評を博す。現在、上野学園大学准教授。最近のCDは、2008年にリリースされた新井靖志とのデュオによる「6つのカプリス~2本のサクソフォンのための作品集~」、2009年3月にリリースされたソロCD「明日の方へ」(共にマイスターミュージック)。
使用楽器:セルマーシリーズⅡGP マウスピース:セルマーS90−180


新井靖志

新井靖志(あらい やすし)Yasushi Arai■テナー・サックス

コンセルヴァトワール尚美ディプロマ・コース卒業。赤松賞受賞。尚美コンクール管打楽器部門第1位、第4回日本管打楽器コンクール・サクソフォン部門第2位入賞。2000年にはソロデビューCD「ファンタジア」(マイスターミュージック)をリリースしている。また、彦坂眞一郎とのデュオによる「6つのカプリス~2本のサクソフォンのための作品集~」(マイスターミュージック)も人気を博している。最新CDはソロ・アルバム「夕べの歌」(フロレスタン)。意欲的な内容で、サクソフォンの新境地を開拓、高い評価を得ている。
使用楽器:ヤナギサワ T-992PGP


田中靖人

田中靖人(たなか やすと)Yasuto Tanaka■バリトン・サックス

国立音楽大学在学中に第1回日本管打楽器コンクール・サクソフォーン部門第2位、第4回日本管打楽器コンクール・サクソフォーン部門第1位を受賞。卒業後よりソリストとして各地でリサイタルなどを行い、テレビやラジオにも数多く出演。ソロ・アルバムに、91年「管楽器ソロ名曲集・サクソフォーン」(日本コロムビア)95年「ラプソディ」(東芝EMI)97年「サクソフォビア」(東芝EMI)03年「ガーシュイン・カクテル」(佼成出版社)12年「モリコーネ・パラダイス」(EMIミュージック・ジャパン)をリリース。03年、和歌山県より「きのくに芸術新人賞」を受賞。サクソフォンを大室 勇一氏に師事。現在、愛知県立芸術大学講師、昭和音楽大学講師、東京佼成ウインド オーケストラ コンサートマスター。
使用楽器:YAMAHA YBS-62Ⅱ


小柳美奈子

小柳美奈子(こやなぎ みなこ)Minako Koyanagi■ピアノ

東京藝術大学卒業。伴奏のイメージを変えてしまうアンサンブル・ピアニスト。様々なプレイヤーの呼吸の機微を読み取り、それに寄り添うしなやかな感性を数多くの公演、録音で発揮している。吉松隆「サイバーバード協奏曲」の準ソリストとしてフィルハーモニア管弦楽団とも共演。トルヴェール・クヮルテットとのレコーディングは10数枚を超える。トリオ「YaS-375」のメンバー。


GREETINGS 本多 俊之 サックスソロ

GREETINGS 本多 俊之 サックスソロ

いよいよ本多俊之さんの登場です。

彼らは1997年に「ハイファイヴ」というアルバムを発表。

それ以来の付き合いで、昨年(2014年)にリリースされた「GREETINGS」にもトルヴェールは全員参加。さらに本多さんは彦坂さんと「スマイル」というハイパー室内楽グループで活動したりしています。

アルバム「ハイファイヴ」から、久しぶりに《マイロマンス》(R・ロジャース)。


「GREETINGS」にも収録された《ギャラクサイト》、そして映画「マルサの女」の主題曲を披露。ピアノは本多尚美さん。

残念ながらこの日は櫻井翔が演じて話題になったTV「家族ゲーム」で使われた楽曲(全編、サックスだけの演奏で話題を呼びましたね)は演奏されなかったけれど、映画「家族ゲーム」(1983年)には「マルサの女」の監督・伊丹十三氏が俳優として参加されていた…など、数奇なつながりがあったことを語る本多さん。

そして《スペイン》。ピアノは本多尚美・小柳美奈子の連弾態勢。両翼に本多・須川のソプラノが好対照をみせて、大迫力!


アンコールはかけ声も高く《マンボNo.5》(P・プラード)。途中に、やはりペレス・プラードの名曲《セレソ・ローサ》のフレーズを思い思いに挟んで、愉しくにぎやかに、そして激しくドリームコンサートの掉尾を飾りました。

本多 俊之

プロフィール

本多 俊之(サックス・作曲・編曲・プロデュース)
HONDA Toshiyuki, Sax & Compose & Produce

チック・コリア、フレディー・ハバード等、内外の著名ミュージシャンと多数共演を重ねる、日本ジャズ界を代表するサックス奏者。作・編曲家としてドラマ、CM、映画、クラシック音楽まで手がける多才な才能は有名。代表作として、日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した映画「マルサの女」、「ニュースステーション」「クローズアップ現代」等番組テーマ曲、NHK朝の連続テレビ小説「風のハルカ」、フジTV「家族ゲーム」等。 最新CDは、アドルフ・サックス生誕200周年を記念した「GREETINGS~アド
ルフ・サックスに捧ぐ~」(キング)。


ドリームコンサート2015 番外編!



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